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抗がん漢方生薬:女貞子(ジョテイシ)
モクセイ科 女貞の成熟した果実を乾燥したもの
中医では補益肝腎、清熱明目の効能を持つとされ、肝腎陰虚による眩暈、耳鳴り、腰や膝のだるさ等の治療に用いられる。
現代の薬理研究によって抗肝炎、降血糖、降血脂、白血球上昇作用等を有することがわかっている。その主要な免疫活性成分はオレアノール酸、多糖、揮発油等である。
【薬理作用】
補腎滋陰 養肝明目
強心、通便、滋養、抗癌作用
基礎実験ではリンパ球の増殖を促進する作用が証明されており、子宮癌14に対する抑制率は49.2%に達した。肝臓、腎臓の保護作用が有る。
1.降血糖、血液中の脂肪を低下させる作用
女貞子の煎じ液、女貞子中から抽出された女貞子素、オレアノール酸はいずれも良好な降血糖作用を有する。マウスに女貞子30g・kg−1を10日間にわたって胃内投与したところ、アドレナリン、ブドウ糖投与マウスの血糖上昇に対して顕著な対抗作用を示した。
関連の実験によってオレアノール酸は高血糖ラットの血糖を顕著に低下させ、その作用は投与量と関係することが判明した。正常なラットの血糖に対しては顕著な影響はなかった。オレアノール酸は実験性高脂血症ラットとウサギに対して顕著な降脂作用を有し、コレステロールや過酸化脂質量(LPO)を顕著に低下させる作用、動脈壁のコレステロール含量とアテローム斑の発生率を低下させる作用等を有する。
2.抗炎症作用、抗菌作用
女貞子に含まれるオレアノール酸は広域スペクトルの抗菌作用を有し、黄色ブドウ球菌、溶血性連鎖球菌、大腸菌、細菌赤痢、チフス菌に対していずれも抑制作用を有する。
3.免疫作用
3.1 女貞子多糖類の抗腫瘍作用
多糖類は動植物や微生物中に存在する一種の天然大分子集合物である。
多くの研究によって、多糖類は免疫機能を調節することで細胞膜の組成を変化させ、信号伝達経路にも影響を与え癌を抑制する遺伝子にも影響することがわかった。
このように、多種類の主要細胞に対して一定の抑制作用を有する多糖は非細胞毒物質であり、正常な細胞に対してほどんと毒作用や副作用を起こさないため、移植性腫瘍動物モデルの主要研究において重要視されている。
本実験はS180、H22マウス移植性腫瘍モデルを用いて行われた。
結果:LLP(女貞子多糖)は二種の腫瘍株によって引き起こされた腫瘍に対して異なる抑制作用を示した。腫瘍細胞に対する直接作用の研究によって、LLPの腫瘍細胞に対する直接殺傷作用はやや弱いことが判明した。しかしLLPのマウスを用いた実験によってT細胞の増殖能力を促進させると同時にマウスのリンパ細胞YAC21のNK活性を誘導することが判明した。そのため、LLPの腫瘍に対する作用は直接腫瘍細胞に作用するものではなく、免疫系統を調節することによって体内のT細胞とNK細胞の活性を増強させ間接的に腫瘍の作用に対抗するものであることが判明した。同時に本実験においてLLPグループの担がんマウス(癌を体内に有するマウス)のQOLは対照グループに比較して顕著に良好であり、腫瘍の成長も緩慢で、癌も比較的小さく、マウスの反応及び活動いずれも機敏であった。
対照グループの癌は成長が早く、反応は鈍く後期は顕著な憔悴状態にあった。これらの結果は免疫状態と密接な関係にある。関連の研究によって、女貞子は腫瘍細胞のマクロファージに対する働きを逆転させることで、HeLa細胞のアポトーシス作用を促進させることが判明している。
本研究において、LLPは免疫増強作用を有し、LLPは腫瘍治療及び患者のQOL向上に対して一定の意義があることが判明した。そのため、今後さらに研究を進める意義があると考えられる。
3.2 特異的免疫に対する影響
特異的免疫は免疫活性細胞であるT細胞とB細胞の抗原分子の識別、活性化、増生、分化及び発生免疫反応に対する複雑な生物学的過程であり、細胞免疫と体液免疫の二種類がある。
細胞免疫は抗原が体内に侵入した後、T細胞の免疫応答を刺激する。細胞免疫は細胞内微生物と宿主細胞内で増生する細菌感染に対抗し、細胞内微生物と感染した細胞を破壊する。免疫応答においてリンパ球は重要な役割を果たしている。リンパ球はT細胞とB細胞を含み、胸腺や骨髄の誘導を経て分化する。分化と発育は血液とその周囲にある免疫器官中でおこなわれる。
数多くの研究によって、補益類の生薬は大部分が細胞免疫機能を調節する作用を有することが判明している。
女貞子多糖はマウスリンパ球のコンカナバリンA(ナタマメの含有成分の一つ。リンパ球分裂促進活性を有する。)刺激による増殖反応を増強させる。
女貞子抽出物を高、中、低3つの投与量に分け、マウスに7日間連続して投与して女貞子抽出物の正常マウスと薬剤によって免疫抑制されたマウスへの免疫機能の影響を観察したところ、女貞子抽出物は顕著に免疫抑制マウスの免疫器官の重量を増加させ、体重の低下も抑制した。
正常マウスと免疫抑制マウスに対して、量依存性のリンパ球転化率とマクロファージ貪食機能を有することが判明した。
女貞子は細胞表面の受容体活性を増強させT細胞の活性を促進させることによって、リンパ細胞の転化率を上昇させ、免疫機能を増強させる。
体液免疫はB細胞の介入による一種の重要な免疫反応である。体液免疫は細胞外微生物及び毒素から体を守る。B細胞の産生による抗体レベルは体液免疫状態の重要な指標である。多くの研究によって、女貞子はB細胞の形質細胞への分化増殖を刺激し、抗体レベルを上昇させることで体液免疫機能を増強させることが判明している。
3.3 非特異性免疫に対する影響
非特異性免疫は体の一種の天然防御機能であり、物理的な障壁や血液、組織中のマクロファージを含むものである。
NK細胞及び各種細胞因子はいずれも人体を有害物質の攻撃から守る役割を果たしている。NK細胞は重要な免疫細胞であり、骨髄造血幹細胞に由来し、その外周と脾臓に分布している。NK細胞は一種の自然細胞毒活性を有し、T細胞やB細胞及び骨髄幹細胞の異質性多機能免疫細胞を調節する作用も有する。また、IL-2やインターフェロンの分泌を促す働きも有する。多くの研究によって、女貞子にはNK細胞の活性を増強させる作用があることが報告されている。
マクロファージは重要な免疫調節細胞の一つであり、病原や異物を貪食して特異性免疫反応に関与する。また、補体やインターフェロン等、多種生物活性物質を分泌し、NK細胞やB細胞に対して双方を調節し、T細胞やB細胞 の免疫応答反応に刺激を与える。マクロファージの貪食、殺菌過程は3段階に分けることができる。一段階目はマクロファージが侵入した病原体に向かって移動する。二段階目はマクロファージが病原体を細胞内にとりいれ、ファーゴソームを形成する。三段階目は細胞質内でリソソームとファーゴソームが融合され、ファーゴリソソームを形成する。リソソーム中の各種加水分解酵素が病原体を消化し、消化後は細胞から排出される。
オレアノール酸は異なる程度でIL-2を増強し、悪性腫瘍患者のリンパ細胞増殖作用を促進し、悪性腫瘍患者のリンパ細胞転化率及びマクロファージの貪食作用を顕著に向上させることが関連の研究で明らかになった。
3.4 サイトカインに対する影響
サイトカインは免疫系統の中心となる調節因子であり、リンパ細胞やNK細胞、マクロファージ等の免疫活性細胞によって、抗原もしくは有糸分裂促進因子の刺激下において産生される各種生物活性物質の総称である。標的赤血球表面の受容体分子によって作用を発揮し、免疫細胞の増殖、分化、活性に影響を与え、さらには直接的な抗腫瘍作用も有する。サイトカインはインターロイキンやTNF、IFN、CSFを含み、それらは免疫系統の中で非常に重要な調節作用を有する。細胞傷害性T細胞によって分泌されるIFN‐γ、TNF(腫瘍懐死因子)はマウス腫瘍に対して非常に重要な作用を有し、主に腫瘍間質を取り除くことで作用を発揮する。TNFはマクロファージの分泌する一種の細胞因子を通して腫瘍細胞もしくはウィルス感染細胞を殺傷する作用を有する。多くの研究によって補益類の生薬の大部分は細胞の免疫機能を調節する作用を有し、インターロイキンやインターフェロン、TNF等広範囲にわたるサイトカインの生成と活性を調節することが判明している。また、NK細胞の細胞毒活性に対しても影響を与える。
関連の研究によると、女貞子多糖は一定濃度範囲内において、ConA(コンカナバリンA)との相互作用によってマウスの脾Tリンパ球を活性化させIL-2を産生する。女貞子多糖が1μg/ml濃度のときマウスリンパ細胞のIL-2分泌能力は顕著に向上した。その他の研究によって、100%女貞子無菌液をマウス腹腔に注入したところ、毎日5gの女貞子を注射したグループの脾細胞及び腹腔細胞のTNF活性は対照グループ及びその他の薬物投与グループに比べて顕著に高い数値を示した。この結果から、適量の女貞子を投与することでマクロファージのTNF分泌作用を増強させることが判明した。
参考文献
女貞子の化学成分及びその薬理研究と発展 現代臨床医学 2009年 第35巻 第5期
女貞子の動物免疫機能に対する研究と発展 飼料工業 2009年 第30巻 第6期
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