|
博生癌寧開発者常林教授
腹水治療:(漢方)弁証・論治
腹水の治療手段
1.内治法
中国医学による腹水の治療は弁証法による全身観察を中心に行われる。
弁証の要点は状態(虚・実、気滞、血お、水停)の程度をよく把握した上で行気、化お、健脾、利水の生薬を使って治療を行う。
もし腹水が重症な場合は同時に虚を補う治療を行うことが大切である。具体的には健脾温腎、滋養肝腎などの方法を用い脾を重点的に治療し同時に邪気を取り除く。
腹水に対する具体的な弁証・論治・・・(中国医学では腹水に対して6種類の診断と治療法があります。)
@気滞湿阻
主な症状:腹が脹れ、脇の下が脹れて、痛みがある、食欲が無い、吐き気、食後の満腹感。小便の量と回数が少ない。
口が粘々して、脈が弱い。
治療法:疎肝理気、行湿消満
処方薬: 柴胡10g、香附10g、欝金10g、白芍10g、センキュウ10g、枳殻10g、陳皮10g、蒼朮10g、茯苓10g、猪苓10g、沢瀉10g
参考古典処方・・・柴胡疏肝湯 《景岳全書》、胃苓湯《丹渓心法》
A寒湿困脾
主な症状:腹が大きく張る、顔及び両足も腫れ上がる。 暑くなると症状が軽くなる。寒さに弱い、精神的に落ち込む。尿の量が少ない、舌苔が白い、脈が弱い。
治療法:温陽散寒、健脾利水
処方薬: 附子10g、附子10g、乾薑6g、木香10g、ヨクイニン15g、猪苓10g、 茯苓10g、沢瀉10g、車前子110g
参考古典処方・・・実脾飲《済生方》
B湿熱蘊結
主な症状:腹が大きく脹れる、外から触ると硬く痛みがある。気持ちが苛立って、落ちつかない。口が苦くて、ねばねばする。血尿、便秘。顔が黄色くなる。舌が赤く苔が黄色い。脈が弱い。
治療法:清熱利湿、攻下逐水
処方薬: 茵陳10g、黄ゴン10g、黄連5g、山梔10g、半夏10g、厚朴10g、枳殻10g、茯苓10g、猪苓10g、沢瀉10g、大黄10g。
参考古典処方・・・ 中満分消丸《蘭室秘蔵》、合茵陳蒿湯《傷寒論》
C肝脾血お
主な症状:腹が大きく腫れ上がる、血管が浮き出る、脇腹に突き刺すような痛みがある、顔色が黒い、頸部、胸部に血の痣がある。掌に赤い斑点、舌に血斑や紫斑がある。脈が細い。
治療法:活血化お、行気利水
処方薬: 当帰10g、センキュウ10g、赤芍10g、莪朮10g、延胡索10g、大腹皮15g、桑白皮10g、茯苓皮15g、陳皮10g。
参考古典処方・・・ 調営飲《証治準縄》
D 脾腎陽虚
主な症状:腹が大きく腫れ上がる。大小便の時間帯が不調(朝出ず夜多い)で、顔色が黄色くて、白い、食欲が無い、寒さに弱い、両足が浮腫む、小便が少ない。舌色が薄くぶ厚い。脈が重くて、弱い。
治療法:温補脾腎、化気行水
処方薬: 党参10g、白朮10g、附子10g、熟地10g、山薬10g、山茱萸10g、 猪苓10g、茯苓10g、沢瀉10g、車前子15g。
参考古典処方・・・附子理中丸《太平惠民和剤局方》 合五苓散《傷寒論》
E肝腎陰虚
主な症状:腹が大きく腫れ上がり青筋が出る、体が痩せる、顔色悪い、口がねばねばする、気持ちが苛立って落ちつかない、寝汗、時には歯茎からの出血や鼻血がある、小便が少ない、舌が赤くて湿り気が無い、脈が細い。
治療法:滋養肝腎,涼血化お。
処方薬: 熟地10g、山薬10g、山茱萸10g、丹皮10g、赤芍10g、センキュウ10g、 桃仁10g、紅花10g、枳殻10g、茯苓10g、沢瀉10g。
参考古典処方・・・ 六味地黄丸《小児薬証直訣》 合膈下逐お湯《医林改錯》
*参考古典処方の 《 》内は処方が記載されてある中国医学文献
* それぞれ症状を観察しながら中医理論に基づいて生薬を加減する。
|